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糖尿病と眼の病気

2012年01月15日 10:15

【糖尿病(diabetes mellitus:DM)とは?】

 糖尿病とは、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高い状態が続いている病気です。糖濃度は、インスリンというホルモンの作用によりある一定値に調節されています。様々な理由によりこの調節機能が破綻すると血糖値は高くなり糖尿病となります。初期は自覚症状はありませんが、悪化に伴い「喉が渇く」「尿の回数や量が増える」「尿が泡立ち匂う」「体が怠く疲れやすい」「足がつる、むくむ」「食欲旺盛になる」「食欲はあるが痩せる」「おできができやすい」「キズが治りにくい」「性欲が低下する」などの諸症状が現れてきます。さらに進行すると全身に重大な障害を及ぼすこととなります。


【糖尿病の合併症】

 糖尿病に罹患すると、全身の様々な場所に合併症を引き起こします。特に眼、腎臓、神経に障害が現れやすく、「糖尿病網膜症」「糖尿病性腎症」「糖尿病性神経障害」は糖尿病の三大合併症と言われています。以下、合併症による眼疾患についてご紹介させていただきます。


【糖尿病による眼疾患】

 糖尿病による眼の病気には、失明原因第二位の糖尿病網膜症(第一位は緑内障)のほか、白内障、緑内障、外眼筋麻痺、虹彩毛様体炎などがあります。

1.糖尿病網膜症
 眼には、カメラのフィルムに相当する「網膜(無血管組織)」という所があります。光や色を感じ取る視細胞が存在し、その外側にある「脈絡膜(血管が豊富な組織)」より栄養や酸素の供給を得ています。糖尿病により血流が悪くなると網膜の隅々まで酸素が行き渡らなくなり酸欠状態になってしまいます。酸欠を脱するため脈絡膜は網膜に向かって新しい血管(新生血管)を形成します。これが非常に脆く簡単に出血を起こしてしまいます。よって硝子体(眼球の形成保持の役割)出血や網膜剥離を起こし急激な視力低下となります。予後は不良で、最終的には失明に至ってしまうことも多い非常に恐ろしい病気です。

2.糖尿病白内障
  白内障とは、眼の中のレンズである水晶体が何らかの原因により混濁する病気です。ほとんどが加齢による老人性白内障ですが、血糖コントロールのうまくできない糖尿病の場合、水晶体内に混濁を生じさせるソルビトールという体に不必要な物質をつくってしまいます。症状として眩しさやかすみなどですが、進行すると視力低下を自覚するようになります。また、老人性に比べ若年より発症しその進行スピードが早くなる傾向にあります。

3.糖尿病緑内障
 眼球は、常に一定の大きさ・形を維持するために、ある一定の圧力(眼圧)で保たれています。
  緑内障とは、眼圧が上昇(もしくは降下)することによる視神経の圧迫で、視野障害を来す病気です。初期症状はほとんどありませんが、暗点(見えない場所)の出現や視野狭窄(見える範囲が狭くなる)に気付いたときにはかなり進行してしまった状態といえます。また、糖尿病による緑内障では、通常よりも治療が難しいといわれています。

4.その他症状
 a.三叉神経障害による角膜知覚の低下
 b.動眼神経麻痺による複視(ものが二重に見える)、眼瞼下垂(瞼が下がる) など…


現在、日本人の10人に1人が糖尿病予備軍といわれています。
自覚症状が現れる前に生活習慣を見直すことが大切です。

白内障

2011年12月07日 13:18

【白内障(cataract)】

 眼の屈折(カメラのレンズ)に大きな役割を果たしているのが「水晶体」と「角膜」です。さらに水晶体は、厚みを変えることにより調節(ピント合わせ)をしています。年齢と共に水晶体の弾力は減少し調節障害が現れてきます。これが俗に言う老眼(老視)の始まりです。
 水晶体はほぼ無色透明なレンズ(厳密にはやや黄味を帯びている)であり、角膜と共にスクリーンである網膜上に外界の情報を映し出しています。白内障とは、この無色透明であるはずのレンズが加齢もしくは何らかの原因により混濁した状態です。(小キズやコート膜の傷んだメガネが見えにくいように…)混濁の程度、範囲、部位により症状は様々ですが、羞明(眩しい)や霧視(かすみ)のほか徐々に視力低下が進行していきます。


【白内障の分類】

1.先天性 : 遺伝性、胎児感染症など
2.後天性 : 老人性、外傷性、併発性、放射線性、内分泌代謝異常性、薬物または毒物性など


【白内障の種類】

a.先天白内障
 遺伝的素因が多く、その他の眼疾患および全身異常を伴うこともある。胎内感染による先天風疹症候群が代表的である。多くは両眼性であり、強い混濁に関しては早期手術が原則となる。

b.老人性白内障
 加齢による水晶体の混濁で、白内障の中で一番多いタイプである。初発年齢に個人差はあるが、70歳を超えてくると多少なりともほとんどの人に老人性白内障の症状が現れる。進行は緩やかで、混濁の程度により①初発白内障→②未熟白内障→③成熟白内障→④過熟白内障に分けられる。視力低下が進行し日常生活において支障を来すようになれば手術を行う。

c.その他の白内障
 ●外傷性白内障
 ●併発白内障 : ぶどう膜炎や網膜剥離などに伴うもの
 ●全身疾患に伴う白内障 : 糖尿病、アトピー性皮膚炎、ダウン症候群など
 ●ステロイド白内障 : 副腎皮質ホルモンの長期投与
 ●放射線および赤外線白内障
 ●後発白内障 : 白内障嚢外摘出術後、後嚢近くに残った皮質が混濁したもの


【白内障の予防】

 ○紫外線は角膜と水晶体に吸収されます。日中の外出時には、ぜひサングラスの着用を。
 ○水晶体はビタミンCが豊富です。喫煙はビタミンCを著しく消耗します。ぜひ禁煙を。
 ○暴飲暴食運動不足ストレスなども白内障を促進させるといわれています。

緑内障

2010年06月11日 11:56

【緑内障(glaucoma)】

 眼球は、ある一定の内圧(眼圧)によって形状を維持しています。眼圧を調整しているのが房水です。毛様体で産生された房水は、眼外の静脈系に流出します。この産生量と流出量のバランスが崩れ、眼圧が上昇した状態緑内障といいます。正常眼圧は一般に10~21㎜Hg(水銀柱ミリメートル)ですが、臨床的に10㎜Hgより低い場合は低眼圧症、21㎜Hgを超えて高い場合は緑内障が疑われます。


【緑内障の分類】

1.原発性 : 原因疾患をもたないもの
2.先天性 : 隅角(房水の流出部)に先天性異常をもつもの
3.続発性 : 原因疾患をもつもの


【緑内障の種類】

a.原発開放隅角緑内障 : 隅角の広いタイプ
 初期症状はほとんどないが、眼精疲労、虹輪視(明かりの周りに虹が見える)、眼痛などを伴う
 さらには視野異常(鼻側の視野欠損)を自覚し、末期には中心視野のみが残る

b.原発閉塞隅角緑内障 : 隅角の狭いタイプ
 中年以上の女性に多く(男性の2~4倍)、片眼に急性に発症する
 自覚症状として、急性な強い眼痛、強い頭痛、悪心、嘔吐、視力障害など
 他覚症状として、球結膜の充血、毛様充血、角膜浮腫、散瞳など

c.正常眼圧緑内障 : 眼圧以外の点で原発開放隅角緑内障と共通の特徴を有するタイプ

d.先天緑内障 : 先天隅角形成異常
 角膜が異常に大きく混濁している
 流涙、羞明、眼瞼痙攣を伴うこともり、診断が確定すれば早期に手術となる

e.その他の緑内障
 ●ステロイド緑内障
 ●外傷性緑内障
 ●ぶどう膜炎による続発緑内障
 ●血管新生緑内障など

流行性角結膜炎

2010年03月29日 19:55

【流行性角結膜炎(epidemic keratoconjunctivitis:EKC)】

アデノウイルス8・19・37型による結膜感染である。約1週間の潜伏期間を経て発症(急性濾胞性結膜炎)し、多くの場合、発症後約1週間で角膜炎(点状表層角膜炎)を併発する。感染力が強いので、両眼にみられることが多い。


【症状】
 
流涙、充血、眼脂(目やに)、異物感、眼瞼(まぶた)および耳前リンパ節腫脹など


【治療】

自然治癒(有効な治療法はない)
接触による二次感染の防止(手洗い、タオルの共用やプールの禁止など)
抗菌薬点眼(細菌の混合感染の予防)
ステロイド薬点眼(表層角膜炎)

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            流行性角結膜炎の画像

*濾胞:リンパ球が増殖、集積した粟粒大の小円形隆起。主として円蓋部結膜にみられる。

加齢黄斑変性

2009年10月22日 20:35

【加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)】

加齢に伴い網膜(カメラのフィルムに当たる部分)の黄斑(中心部分)に障害をきたす疾患です。この黄斑は、物を見る(形や大きさ、色など)ために一番重要な役割を果たしてるので、異常をきたすと視力低下など様々な症状が現れます。米国をはじめ欧米諸国では中途失明の第一位であり、近年の日本においても高齢化や生活習慣の変化などにより増加傾向にあります。タイプとして萎縮型と滲出型に分けられます。脈絡膜(網膜の内側部分)から網膜に異常発生した新生血管の有無で萎縮型(無)と滲出型(有)に分けられます。


【症状】

〔萎縮型〕 進行が遅く症状に気付かない方が多いようですが、加齢により滲出型に移行することもあります。
〔滲出型〕 進行が早く急激に視力低下を起こします。
○変視症…視野の中央部が歪んで見える
○視力およびコントラスト感度の低下
○中心暗点…視野の中央部が黒っぽく見える など


【疫学】

○高齢になるほど増加
○男性に多い
○喫煙者に多い など


【治療】

〔萎縮型〕
○定期的な眼科受診
〔滲出型〕
○ルセンティス…新生血管の増殖や成長を抑制する薬剤を使用した治療法
○ビスダイン療法(光線力学的療法)…網膜へのダメージを抑えながら新生血管を閉塞させる治療法
○レーザー光凝固術:新生血管をレーザーで焼き固める治療法 など


【自己チェック法】

アムスラーチャートという表を用いた検査法です。

1.片眼ずつ中央の白点を注視します。
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2.下のような見え方なら加齢黄斑変性の疑いが!すぐに眼科受診を!
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